CG2700XのHDR設定。「モニターと入力信号の設定が一致していません」

Nikon Z6IIIの階調モードHLGを正しく表示できる環境を構築するためにEizo CG2700Xを買って設定しているときの覚書。

環境: Windows 11 Pro 23H2, NVIDIA GeForce RTX 3060(HDMI 2.1, DisplayPort 1.4a), ColorNavigator7 7.2.0.4

使用モニター一覧

公式サイトのスペック表にあるHDCPは著作権保護規格のこと。
DisplayPortの規格と混同しやすい。


結論からいうとCG2700Xのカラーモードを「5-PQ_DCI-P3」にする必要がある。

以下はいろいろ試しているときの詳細。


CG2700Xのファームウェアを最新にする

現在ファームウェアのバージョンはモニターのメニュー → インフォメーションから確認する。
購入したときのバージョン:10001-00108-10000

EIZO ColorEdge CG2700Xの最新ファームウェアを公式サイトで確認。
参考: 機種別情報 CG2700X | EIZO株式会社

更新後のバージョン:10004-00108-10003


グラフィックボードのHDR対応とドライバー更新

公式サイトでグラフィックボードの出力を確認。
参考: MSI GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 8G OC | Graphics Card | MSI Global

HDR(HLG)を表示するためにDisplayPort 1.4以上、HDMI 2.0b以上が必要。
参考: DisplayPort - Wikipedia(英語版の方が分かりやすい)
参考: HDMI - Wikipedia

初期NVIDIAドライバーバージョン: 472.84
最新のドライバーにアップデート: 560.70

Geforce ExperienceからアップデートしようとしたらWindowsが固まったので、NVIDIA公式サイトからダウンロードして実行した方がいい。

PCを再起動する。


NVIDIA コントロールパネルの設定

NVIDIA コントロールパネルを起動 → ディスプレイ → 解像度の変更

NVIDIAのカラー設定を使用
デスクトップの色の深度: 最高(32ビット)
出力の色の深度: 10bpc
出力のカラーフォーマット: RGB
出力のダイナミックレンジ: フル


Windows 11のHDR設定

公式サイトのCG2700X 取扱説明書を読む。
参考: ColorEdge CG2700X | EIZO株式会社

モニターのメニューを開く
カラー調整 → カラーモード → SYNC_SIGNAL
に設定する。

SYNC_SIGNALは入力信号(SDR, HDR)に合わせて自動的にカラー設定が切り替わる。

Windows設定 → システム → ディスプレイ → HDR
HDRを使用する: オン
自動HDR: オン

変更後、ColorNavigator7が「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出た。



ColorNavigatorを起動。
右上のツール → システム情報 → 信号情報
Colorimetryが「BT.2020RGB」になっている。

もう一回ここでキャリブレーションしてみる。

ColorNavigator7を閉じると「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出た。

ここでDisplayPortケーブルを疑ってみた。


EIZO純正のPP200B-Bケーブルのバージョンは?

CG2700Xに使用しているDisplayPortケーブルは他のEIZOのディスプレイ購入していたときに付属していたケーブル。
「PP200B-B」とラベルが付いている。
(純正の方が品質がいいのでは?という理由で使用)    

公式サイトにはDisplayPortの規格情報がない。
参考: EIZOダイレクト|PP200 ブラック: アクセサリ
参考: 機種別情報 PP200 | EIZO株式会社

2008年12月10日発売と記載があるので、DisplayPortの規格バージョンは1.1aと思ったけど4K(3840x2160)+60Hzで表示できているので、1.2だと思われる。
参考: DisplayPort - Wikipedia

現時点でのDisplayPort最新規格は2.1a。

Amazonで規格2.1に対応しているというDisplayPortを買って試した。
(グラフィックボードはDisplayPort 1.4aだから最新にする必要はない)

しかしながら結果は同じ。
→ いろいろ試した結果PP200B-BでもHDR表示できた。


HDMIケーブルに変更

一旦Windowsの「HDRを使用する」をオフにしてCG2700Xに付属されていたHDMIケーブルに変更。

すると、NVIDIA コントロールパネルを起動 → ディスプレイ → 解像度の変更 → NVIDIAのカラー設定を使用 → 出力の色の深度は8bpcしか選べない。

Windowsの「HDRを使用する」をオンにしてみると、やっぱり「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出る。



サポートに問い合わせ

分からないのでサポートに問い合わせた。
参考: EIZOコンタクトセンター | EIZO株式会社

分かった事

  • 入力信号のガンマがPQ(EOTF:SMPTE ST 2084)のため「5-PQ_DCI-P3」にすれば通知が出ない。
  • 入力信号のガンマがHLGの場合はEOTFが「Hybrid Log Gamma」となるらしい。
  • SYNC_SIGNALで通知が出るのはColorNavigator7のバグ。修正予定らしい。
  • DisplayPortケーブルPP200B-BでもHDR表示できた。

つまり現状HDR表示するためにはカラーモードを「5-PQ_DCI-P3」にする必要がある。


おそらくWindowsがPQにしていると思う。
WindowsとPQ、HLGの関係は調査予定。


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