CG2700XのHDR設定。「モニターと入力信号の設定が一致していません」
Nikon Z6IIIの階調モードHLGを正しく表示できる環境を構築するためにEizo CG2700Xを買って設定しているときの覚書。
環境: Windows 11 Pro 23H2, NVIDIA GeForce RTX 3060(HDMI 2.1, DisplayPort 1.4a), ColorNavigator7 7.2.0.4
使用モニター一覧
- EIZO ColorEdge CG2700X(2022/09/22発売, DisplayPort 1.4a?, 出力深度10bpc, 3840x2160, Adobe RGB/DCI-P3)
- EIZO ColorEdge CS2740(2019/10/24発売, DisplayPort 1.3, 出力深度10bpc, 3840x2160, Adobe RGB)
- EIZO FlexScan EV2740X(2023/04/25発売, DisplayPort 1.3, 出力深度8bpc, 3840x2160, sRGB)
公式サイトのスペック表にあるHDCPは著作権保護規格のこと。
DisplayPortの規格と混同しやすい。
結論からいうとCG2700Xのカラーモードを「5-PQ_DCI-P3」にする必要がある。
以下はいろいろ試しているときの詳細。
CG2700Xのファームウェアを最新にする
現在ファームウェアのバージョンはモニターのメニュー → インフォメーションから確認する。
購入したときのバージョン:10001-00108-10000
EIZO ColorEdge CG2700Xの最新ファームウェアを公式サイトで確認。
参考: 機種別情報 CG2700X | EIZO株式会社
更新後のバージョン:10004-00108-10003
グラフィックボードのHDR対応とドライバー更新
公式サイトでグラフィックボードの出力を確認。
参考: MSI GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 8G OC | Graphics Card | MSI Global
HDR(HLG)を表示するためにDisplayPort 1.4以上、HDMI 2.0b以上が必要。
参考: DisplayPort - Wikipedia(英語版の方が分かりやすい)
参考: HDMI - Wikipedia
初期NVIDIAドライバーバージョン: 472.84
最新のドライバーにアップデート: 560.70
Geforce ExperienceからアップデートしようとしたらWindowsが固まったので、NVIDIA公式サイトからダウンロードして実行した方がいい。
PCを再起動する。
NVIDIA コントロールパネルの設定
NVIDIA コントロールパネルを起動 → ディスプレイ → 解像度の変更
NVIDIAのカラー設定を使用
デスクトップの色の深度: 最高(32ビット)
出力の色の深度: 10bpc
出力のカラーフォーマット: RGB
出力のダイナミックレンジ: フル
Windows 11のHDR設定
公式サイトのCG2700X 取扱説明書を読む。
参考: ColorEdge CG2700X | EIZO株式会社
モニターのメニューを開く
カラー調整 → カラーモード → SYNC_SIGNAL
に設定する。
SYNC_SIGNALは入力信号(SDR, HDR)に合わせて自動的にカラー設定が切り替わる。
Windows設定 → システム → ディスプレイ → HDR
HDRを使用する: オン
自動HDR: オン
変更後、ColorNavigator7が「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出た。
ColorNavigatorを起動。
右上のツール → システム情報 → 信号情報
Colorimetryが「BT.2020RGB」になっている。
もう一回ここでキャリブレーションしてみる。
ColorNavigator7を閉じると「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出た。
ここでDisplayPortケーブルを疑ってみた。
EIZO純正のPP200B-Bケーブルのバージョンは?
CG2700Xに使用しているDisplayPortケーブルは他のEIZOのディスプレイ購入していたときに付属していたケーブル。
「PP200B-B」とラベルが付いている。
(純正の方が品質がいいのでは?という理由で使用)
公式サイトにはDisplayPortの規格情報がない。
参考: EIZOダイレクト|PP200 ブラック: アクセサリ
参考: 機種別情報 PP200 | EIZO株式会社
2008年12月10日発売と記載があるので、DisplayPortの規格バージョンは1.1aと思ったけど4K(3840x2160)+60Hzで表示できているので、1.2だと思われる。
参考: DisplayPort - Wikipedia
現時点でのDisplayPort最新規格は2.1a。
Amazonで規格2.1に対応しているというDisplayPortを買って試した。
(グラフィックボードはDisplayPort 1.4aだから最新にする必要はない)
しかしながら結果は同じ。
→ いろいろ試した結果PP200B-BでもHDR表示できた。
HDMIケーブルに変更
一旦Windowsの「HDRを使用する」をオフにしてCG2700Xに付属されていたHDMIケーブルに変更。
すると、NVIDIA コントロールパネルを起動 → ディスプレイ → 解像度の変更 → NVIDIAのカラー設定を使用 → 出力の色の深度は8bpcしか選べない。
Windowsの「HDRを使用する」をオンにしてみると、やっぱり「モニターと入力信号の設定が一致していません」と通知が出る。
サポートに問い合わせ
分からないのでサポートに問い合わせた。
参考: EIZOコンタクトセンター | EIZO株式会社
分かった事
- 入力信号のガンマがPQ(EOTF:SMPTE ST 2084)のため「5-PQ_DCI-P3」にすれば通知が出ない。
- 入力信号のガンマがHLGの場合はEOTFが「Hybrid Log Gamma」となるらしい。
- SYNC_SIGNALで通知が出るのはColorNavigator7のバグ。修正予定らしい。
- DisplayPortケーブルPP200B-BでもHDR表示できた。
つまり現状HDR表示するためにはカラーモードを「5-PQ_DCI-P3」にする必要がある。
おそらくWindowsがPQにしていると思う。
WindowsとPQ、HLGの関係は調査予定。