医療安全・医療の質
診療情報管理士の勉強をしているときの覚書。
ハインリッヒの法則
ハインリッヒの法則とは、1件の重大な事故の背後には、29件の軽微な事故があり、さらにその背後には300件のヒヤリ・ハット(傷害のない事故)が存在する。
ハインリッヒの法則が医療安全で重視される理由は、「重大な事故は偶然起きるのではなく、数多くのヒヤリ・ハットや軽微な事故の積み重ねの先にある」という教訓を与えてくれるから。
用語
- リスク: 損失を被る可能性
- ぺリル: 損害を直接引き起こす事象そのもの。例)事故、転倒、手術ミス
保険業界で使われ医療現場でほぼ使われない(わざわざ転倒をぺリルと言い換えない)。
医療現場では「インシデント」と呼ぶ。 - ハザード: リスクを生じさせる原因となるモノ・コト(危険因子)。
例)病室の床が濡れているのは転倒リスクに繋がるハザードである。
フェイルセーフ (Fail-safe)
機械はいつか必ず壊れる、という前提に立ち、故障や誤作動が発生しても、事故や大きな損害につながらないように、被害を最小限に食い止めることを目的とする。
Fail(故障) しても Safe(安全)
具体例
- 石油ストーブ:地震で倒れると、自動的に火が消える。
- 踏切の遮断機:停電などで故障すると、自重で遮断機が下りた状態になる。
- 信号機:電球が切れたり故障したりすると、赤信号が点滅する(または消灯せず点滅になる)。
フールプルーフ (Fool-proof)
利用者が誤った使い方(うっかりミス)をしても、危険な事態にならないように、あるいはそもそも間違った操作ができないように設計する考え方。
Fool(うっかり者) の操作を Proof(防ぐ)
具体例
- 電子レンジ:ドアを閉めないと作動ボタンを押しても動かない。
- 洗濯機:脱水中にフタを開けると、自動で回転が止まる。
- 自動車(AT車):ブレーキを踏まないとエンジンがかからない。パーキング(P)に入れないとキーが抜けない。
- USBケーブルやコンセント:向きや形が違うと差し込めないようになっている。
病院機能評価
病院機能評価は国から独立した中立な第三者機関が審査し、高い医療を提供できているかチェックする仕組み。
日本医師会が主導。
参考: 日本医療機能評価機構 - Wikipedia
米国の医療施設認定合同機構を参考に1997年から審査を開始。
米国と違い、認定によるメリットが少ない。
「機能評価受審加算」があったときは急激に認定数が増加したが、加算廃止後はメリットが少なく認定数は日本の病院の約4分の1が認定を受けて頭打ち。
また、機能評価の認定を受けた病院が医療事故を受けたニュースが流れ、病院機能評価に対するイメージが良くない。
施設基準との違い
- 施設基準はハードウェアの要件。病院機能評価はソフトウェアの質。
- 施設基準は最低限の基準。病院機能評価は目指すべき目標。
- レストランに例えるなら、施設基準は保健所の営業許可。病院機能評価はミシュランガイドの星。
施設基準にも「医療安全対策加算」や「データ提出加算」のように医療の質や安全に関するものがある。
ただし定量的に評価するために人・モノ・数に落とし込んでいる。
病院機能評価は審査官が実際に現場で直接ヒアリングして、生きた仕組みとして機能しているか確認する。