産婦人科・周産期の基礎、妊娠1・2、分娩1・2

 診療情報管理士の勉強をしているときの覚書。


卵胞ホルモン(エストロゲン)

主に女性ホルモンと呼ばれる。
卵胞(卵巣内で造られる卵細胞表面の細胞の集合体)から分泌される。
エストロゲンの分泌量は卵胞の発達とともに増加していくため、月経期の後、排卵期が近づくにつれて、血液中のエストロゲン濃度は上昇し、排卵時にピークに達する。
参考: エストロゲン - Wikipedia
参考: 卵巣 - Wikipedia


黄体ホルモン(プロゲステロン)

思春期・成人女性では、卵巣の黄体から分泌されるが、妊娠時には、妊娠中期以降になると、胎盤からも分泌される。
女性の体、特に子宮を妊娠の準備をするように変化させ、月経周期を決めて、もし妊娠が起こった場合には、出産までの間、妊娠を維持させる役目を果たす。
参考: プロゲステロン - Wikipedia


月経

性成熟したヒトの女性において、子宮内膜(子宮壁の最内層)が周期的に剥離・脱落する際に生じる生理的出血。
28日周期で起こり、正常月経周期は25日から38日。
参考: 月経 - Wikipedia

  • 卵胞期: 卵巣内で下垂体前葉が分泌する卵胞刺激ホルモン(FSH)の影響で卵胞が成長し、子宮内膜が厚くなる。
  • 排卵期 :   卵胞ホルモン濃度が最大値となり 排卵(卵子の放出)が起こる。
    黄体ホルモン値も上昇を始め、下垂体から分泌される黄体形成ホルモンが通常36 - 48時間に渡り大量に放出される黄体形成ホルモンサージ(LHサージ)が起きる。
    黄体ホルモンは子宮内膜に柔らかく厚みのある状態にし、受精卵が着床しやすいように子宮内環境を整える作用がある。
  • 黄体期 :  平均14日間活動を維持する。やがて黄体ホルモンと卵胞ホルモンなどの分泌が低下し、子宮内膜が脱落する。

排卵までの時間で月経周期が決まる。
黄体期はほぼ一定。


妊娠週数

最終月経初日を0日目として、満日数または満週数で表す。
40週0日を標準的な妊娠期間として分娩予定日とする。
妊娠初期(妊娠9週~12週未満)に超音波検査で頭殿長(CRL)を計測するのが最も信頼できる分娩予定日。
参考: 妊娠 - Wikipedia

  • 流産: 妊娠22週未満。胎児が子宮外に出てしまうと生存はほとんど困難。
  • 早産: 妊娠22週以降は生存の可能性がでてくる。
  • 正期産(せいきさん): 妊娠37週~41週+6日
  • 過期産(かきさん): 妊娠42週~

人工授精は場合、推定排卵日は妊娠2週0日とする。

日本では妊娠22週未満であれば中絶を認めている。
また妊娠12週以降は死産に関する届出によって、妊婦は死産届を提出する必要がある。
参考: 人工妊娠中絶 - Wikipedia


切迫流産

流産が生じようとしている状態。
軽度の下腹部の痛みと少量の性器出血。
適切な処置で妊娠が維持できる可能性がある。
参考: 流産 - Wikipedia


子宮外妊娠

子宮腔以外の部分への受精卵の着床をいう。
全妊娠の1%に認められ、反復を20%に認められる。
子宮外妊娠の99%は卵管妊娠。
参考: 子宮外妊娠 - Wikipedia

妊娠可能年齢の女性の急性腹症では常に鑑別にいれておかなければならない疾患のひとつ。

頸管妊娠と腹膜妊娠は太い血管が多いため手術が困難。


羊水過多症

羊水が800ml以上になるような病態。
羊水量を測定するのに近年はエコーでみることが多い。
早産の原因となるほか、様々な異常の徴候でもある。
参考: 羊水過多症 - Wikipedia


妊娠高血圧症候群(HDP)

妊娠後期に見られる高血圧と蛋白尿を主とする一連の疾患群の総称。
妊娠中毒症と呼ばれてきたが、2005年に名称変更された。
参考: 妊娠高血圧症候群 - Wikipedia

本症の病態は不明点が多い。
母体、胎児それぞれの因子が様々な程度で複雑に絡まり合っている。

  • 妊娠高血圧症: 妊娠20週~産褥(さんじょく:分娩後)12週の間の高血圧。
  • 妊娠高血圧腎症: 妊娠高血圧症+蛋白尿/腎機能障害
  • 加重型妊娠高血圧腎症: 妊娠20週から高血圧+妊娠高血圧腎症
  • 高血圧合併妊娠: 妊娠20週から高血圧で加重型妊娠高血圧腎症を発症しない。


分娩

胎児が雌の胎内(子宮内)から出ること、及び出る経過を指す。
参考: 分娩 - Wikipedia

  • 分娩第1期: 開口期とも呼ばれる。子宮収縮は徐々に周期的に収縮に痛みが伴い始める(産気づく)。
  • 分娩第2期: 子宮口が全開大してから胎児が娩出されるまで。
  • 分娩第3期: 児娩出から胎盤と臍帯が娩出し終わるまで。


弛緩出血

分娩に伴う出血は避けられないものだが、その量が異常に多い場合、母体に様々な影響が出てくる。
最も一般的な分娩後異常出血の原因は、出産後の子宮弛緩である。
母体死亡の要因第一位は出血(輸血が間に合わないぐらい出血する)。
参考: 分娩後出血 - Wikipedia


新生児呼吸窮迫症候群

肺の未成熟によって肺サーファクタント(肺表面活性物質)が欠乏し、肺コンプライアンス(肺の膨らみやすさを表す指標)の低下から肺胞虚脱、肺血管抵抗増大の病態を呈する。
治療は、人工サーファクタントの投与と呼吸管理による。
参考: 新生児呼吸窮迫症候群 - Wikipedia


新生児黄疸

胎生期の胎児は成人と比較して赤血球数が1.5〜2倍程度多い。
出生後、肺が使えるようになると赤血球過多となり、余分な赤血球は脾臓で破壊される。
この破壊された赤血球中の赤い色素ヘモグロビンが、黄色い色素のビリルビンとなり、皮膚が黄色く見えるようになる。
新生児黄疸自体は生理的な現象ではあるが、時として血中ビリルビン濃度が過多となると大脳基底核などに沈着し悪影響を及ぼすことがある。
参考: 新生児黄疸 - Wikipedia


▼ 関連記事